2016/1/11
快適な室温を保つ 遮熱・断熱ウインドウフィルム

窓は、建物の外部と通じる部位。景色が見えたり、採光をしたりといった大事な役割を担います。そして窓は室内外の「熱」の出入りが最も多い部位でもあります。快適な室温を保つためには、外の暑さ、寒さの室内への影響を最小限にすることがポイント。そこで、ウインドウフィルムに求められる性能が「遮熱・断熱」です。
遮熱性能に「熱い」ニーズ
まず、遮熱について。ウインドウフィルムによる遮熱が求められるケースついて、当社技術担当者に聞きました。
「遮熱とは、主に夏場、日差しによって室内の温度が上がることを防ぐ性能のことです。強い日差しにより、窓際の温度だけが急激に上がったり、冷房効率が落ちたりすることを防ぎ、快適性、省エネ性を実現します。
遮熱が求められる場所として、直射日光が強く当たり、しかも陰になりにくい高層ビルの窓があります。また、日中強い日差しが当たる南向きの部屋はもちろん、午後、太陽高度の低い西日が部屋の奥まで差しこんでくる、西向きの部屋にも遮熱の要望が高いです」
遮熱と透明度にジレンマ?
それでは、遮熱性能のあるウインドウフィルムには、どのような種類のものがあるのでしょうか。
「まず、カラーの入ったフィルムが挙げられます。フィルムに濃い色がついていると、日光が吸収されるので、室内の温度上昇を防ぐことができます。とくに、黒っぽいスモーク調のフィルムは遮熱効果が高いといえます。また、日光を反射するミラー調のフィルムも遮熱効果は高いです。カラーフィルムやミラーフィルムは、目隠しやまぶしさ防止などの効果もありますので、それらの機能とともに、遮熱性能を期待される方が多いようです。
しかし、窓には、当然のことながら『外の景色を見る』という役割を求められることが多くあります。その際、カラーフィルム等で視界を遮ることは好ましくありません。透明度が高く、かつ、日光を遮る効果が高いものという、相反するニーズが発生することになります」
赤外線のみをカットして遮熱

「ここでポイントとなるのが、熱のもととなる『赤外線』です。赤外線は、目に見えない不可視光線。赤外線をカットし、可視光線だけを透過させることができれば、透明度を確保しつつ遮熱効果を実現することができるということになります。
赤外線をカットすることができる透明フィルムとして、3M™ スコッチティントウインドウフィルム マルチレイヤーNanoシリーズがあります。その中のスコッチティント™ ウインドウフィルム NANO80Sという製品は200層以上の多層膜を持つ構造により、赤外線を90%以上カットするため、遮熱性能は非常に高く、かつ可視光線は80%以上透過するので、透明感も損ないません」
3つの「熱の伝わり方」に注目
次に、もう一つの機能「断熱」について説明してもらいました。

「断熱は、熱の出入りを断ち、部屋の中の温度を一定に保つことです。断熱効果が期待されるのは、主に冬場。室内の暖房の熱を外に逃がさず、暖房効率を上げることが求められています。
断熱性能を説明するうえで知っていただきたいことは、熱はどのように伝わるのか、ということです。熱の伝わり方には、『伝導』、『対流』、『放射』の3つがあります。
まず伝導。これは、やかんに触れたときに『熱い!』と感じるように、温度の高い固体に直接触れることで、熱が高いところから低いところに伝わることです。
次に対流は、気体や液体が媒体となり、循環して熱が伝わることです。水の入ったやかんを火にかけたとき、温められた水が上へ移動し、冷たい水が下へ移動します。これを繰り返し、全体に熱が伝わっていきます。
最後に放射。これは電磁波によって熱が伝わることです。あらゆる物体は電磁波を放射しており、これが物体に当たり、吸収されて熱に変わります。放射は、空気などの媒介がなくても熱が伝わるのが特徴です」
断熱技術のフィルムへの応用
断熱は、それら3つの熱の伝わり方を、何らかの方法で断つということ。具体的にはどのような方法があるのでしょうか。

「ウインドウフィルムのお話をする前に、断熱ガラスの仕組みを説明するとわかりやすいと思います。
まず、伝導による熱の伝わりを防ぐのが、『複層ガラス』です。ガラスを二枚重ねて、中に空気の層を設けた構造になっています。これにより、外の熱が直接触れることはなくなり、伝導による熱の伝わりを断つことができます。

次に、対流を防ぐのが『真空ガラス』です。複層ガラスの一種で、二枚重なったガラスの間には真空の層があります。媒体となる空気がありませんので、対流によって熱が伝わることがなくなります。

そして放射に着目したのが、『Low-Eガラス』と呼ばれるものです。このガラスの特徴は、ガラスの中に金属膜があること。この膜が、遠赤外線を反射することによって放射による熱の伝わりを断ちます。なお、Low-Eガラスを二枚合わせ、複層ガラスの機能を持たせた『Low-Eペアガラス』もあります」
遮熱・断熱性能を持つ2製品
では、断熱ガラスで利用される技術のうち、ウインドウフィルムでは、どの技術が使われているのでしょうか。
「ウインドウフィルムによる断熱性能は、最後に挙げた『放射』による熱の伝わりを防ぐことによって実現します。断熱フィルムは、Low-Eガラスのように、フィルム内に金属膜を設けることにより、電磁波を反射します。これにより室内の暖房による熱が外に逃げることを防ぐことができます。また、この金属膜は、太陽からの光を反射しますので、夏の日差しによる室温上昇を防ぎ、冷房効率を上げる『遮熱効果』もあります。
当社では、遮熱・断熱両方の性能を持つフィルムを2製品発売しています。まずアンバー35LEは、ミラー調で、目隠し機能を持つ遮熱・断熱フィルムです。そして65LE。こちらは金属膜による遮熱・断熱性能に加え、透明度も確保した製品となっています」
豊富な製品ラインナップで理想のお部屋を
3Mでは、マルチレイヤーNanoシリーズをはじめとした遮熱フィルム、スモーク調・ミラー調フィルム、金属膜を設け遮熱・断熱両方を実現したアンバー35LE、65LE等、豊富なラインナップをご用意。性能、カラーバリエーション等、実現したい効果に合わせ、お選びいただけます。また、お客様の要望に合わせ、製品選びについてのご提案もさせていただきますので、ぜひお問い合わせください。