2016/3/7
地震対策だけで大丈夫? 飛散防止フィルム選択のポイント

当社のウインドウフィルムは、カラーやデザインなどの外観面のほか、遮熱や断熱、UVカット等、様々な機能で、お客様の幅広いニーズに応える豊富なラインナップです。
中でも、ウインドウフィルムに最も多く求められる機能が、地震や台風時にガラスが割れた場合の破片の落下などを防ぐ「飛散防止性能」です。災害への意識の高まりから、飛散防止フィルムの安全性能についてお問い合わせが多くなっています。
しかし、飛散防止フィルムには様々な安全レベルを持った商品があることから「どれを選んでよいのかわからない」という声もいただいています。
そこで今回は、飛散防止性能を持つ透明ウインドウフィルムの代表的な商品を例に、フィルム選びのポイントについて解説していきます。
スタンダードな製品 「SH2CLAR」
ウインドウフィルムのユーザー、設計担当者から多く求められる飛散防止性能について、当社技術担当者に聞きました。
「飛散防止フィルムを利用する理由として最も多いのが、建物の地震対策です。大きな地震が発生すると、揺れによりサッシがゆがんでガラスが割れる危険性があります。
その際、ガラスの破片が落下してしまうと、重大な二次被害のリスクが高まります。飛散防止性能を持つウインドウフィルムを貼付することによって、ガラスの破片の脱落を防ぎ、二次被害のリスクを低減することができます。
当社の透明飛散防止ウィンドウフィルムは、日本工業規格JISで定められる飛散防止防止性能を持っており、地震対策として安心してお使いいただくことができます。
透明飛散防止ウィンドウフィルムのうち、簡単に地震対策ができる製品として『スコッチティント™ SH2CLAR』 が挙げられます。同製品は、基材の厚みは50μmと薄いながらも、地震によるガラスの破壊に対して十分な飛散防止性能を備えています。透明度が非常に高く、紫外線を99%カットする性能なども持っていることもあり、スタンダードな製品としてご好評をいただいています」
基材の厚さで変わる飛散防止性能
「しかし注意していただきたいのは、地震性能だけではなく、より高いレベルの飛散防止性能を要望される場合です。求められる性能によって、他の製品を選択する必要が生じます。
ここで重要なポイントは、基材の厚さの違い。先ほど紹介した『SH2CLAR』は50μmの厚さですが、飛散防止性能を一段階高めた製品群として、基材厚100μm のウインドウフィルムがあります。
透明フィルムの代表的な製品としては、『スコッチティント™ SH4CLAR』が挙げられます。また、ほかに100μmの基材厚を持つ製品として、『SH4CLARX』『NANO70SX』『NANO80SX』『NANOファサラ』『V50』などがあります。
製品の選択の際、とくに『SH2CLAR』と『SH4CLAR』の2製品について、どちらを選べばよいのかというお客様からのお問い合わせをたくさんいただいています。当社では、予測される災害の程度、用途や施設の違いに合わせ、適切な選択を行えるよう様々な情報提供を行っています」
飛来物の衝突対策は万全か?
では、基材厚50μmの製品と100μmの製品には、飛散防止性能にどのような差があるのでしょうか。
「最近は、台風や竜巻などの発生が多くなっています。そして、台風の規模が年々巨大化しており、事故や災害も甚大なものになってきています。
台風などでの窓ガラスへの被害の特徴として、突風による飛来物がガラスに衝突することによる飛散・貫通があります。
当社では、飛散防止ウインドウフィルムを貼った5mm厚のフロート板ガラスの上に、鋼球を落下させることによって貫通防止性能を試験しています。
その結果、基材厚50μmの飛散防止フィルムでは、ガラスの破壊に対する耐貫通性能は期待できないという結果が得られました。
一方、基材厚が100μmのフィルムでは、ガラス破壊時の飛散防止だけでなく、飛来物に対する貫通被害を低減する効果も併せて得ら確認されています。これにより、飛来物に対して、いわば“シェルター”としての機能の確保も期待できます。
ただし風速や飛来物の大きさによっては、100μmのフィルムであっても貫通が起こることがあり、完全に防止できるものではありません。使用状況によって、より高いレベルの貫通防止性能を持つウインドウフィルムが必要となることもあります」
人間の衝突に耐えられるか?
地震や台風などのほか、飛散防止性能を見る上で重要なポイントを聞きました。
「人間が転倒などによりガラスに衝突した場合の飛散防止・貫通防止性能も非常に重要です。窓ガラスに人間が衝突した際、ガラスが大きく飛び散ったり、窓を人間が突き抜けたりしてしまうと、被害は甚大なものとなります。
人体衝突によってガラスが破壊された場合の安全性を調べる試験として“ショットバッグ試験”」があります。これは、振り子の先に45kgの重りを、一定の高さまで振り上げて離し、その重りをガラス面に衝突させる試験です。
その結果、基材厚50μmの飛散防止フィルムは、30cmの高さから重りを振り下ろした場合の試験に合格しました。これは、6歳以下の幼児が、歩行・走行からガラスに衝突した場合に、貫通しないと認められるレベルです。
一方、基材厚が100μmのフィルムでは、75 cmの高さからの試験に合格しています。これは、16歳以上の成人が静態から転倒した場合、小・中学生では、歩行・走行からの衝突の場合にも耐えられる強さといえます。
人体衝突に対する必要な飛散防止性能は、フィルムを施工する施設が幅広い年齢層を対象とするのかどうかによって変わります。目安として、50μmの製品は、幼稚園や住宅居室、100μmのフィルムは、病院や浴室、事務所や店舗などの開口部に適したレベルの性能だといえます」
製品選びに関する情報は当社まで
以上、「SH2CLAR」と「SH4CLAR」の2製品を中心に、飛散防止フィルムの選択ポイントについて解説しました。
重要なポイントは、求める飛散防止性能が地震対策だけなのか、地震対策に加え衝突対策も行いたいのかということ。起こりうる災害とそれによる被害を想定し、リスクを低減するために必要な飛散防止性能を事前に分析しておくことが大切です。
当社では、個別の製品について、地震や飛来物・落下物、人体衝突等、各種の飛散防止性能に関する実験結果、推奨される用途や使用環境等の情報提供を行っています。製品選びに迷った際は、ぜひお問い合わせください。
また、当社のウインドウフィルムには、今回紹介した製品のほかに、衝突対策などでより高いレベルの飛散防止性能を持つ製品群があります。次回は、それらの製品の具体的な性能について解説します。