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「マスキングテープ」
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第一章 僕がもっといいテープをつくってあげるよ!

1925年のある日、3M社のリチャード・ドルーはサンドペーパーの試作品をテストしてもらうために自動車塗装工場を訪れました。そこで彼が耳にしたのは、塗装用のマスキングが原因で、せっかく仕上げた塗装が台なしになり怒り狂う作業者の声でした。

当時の米国ではツートンカラーの車が流行っていました。その塗装工程では、最初に塗った色の上にマスキング用の古新聞をかぶせ、テープで止めて別の色をスプレーで吹き付けていました。ところが、テープを剥すときに塗装まではがれてしまうというトラブルが多発し、作業者を悩ませていたのです。

「僕がもっといいテープを作ってあげるよ」、具体的にアイデアがあったわけではありませんでしたが、ドルーは思わずそう言ってしまったのです。まさか、この言葉が後に、3Mを大きく成長させる製品を生むきっかけになるとはドルー自身も全く予想していなかったことでした。

ドルーは、塗装仕上げをしている作業をじっと観察しました。そして、彼らが本当に必要としているものがなんであるかをはっきりと理解したのです。

新しいテープが超えなければならない課題はたくさんありました。車体にしっかり貼れて、剥すときはのりを残さない。先に塗った塗料を剥すことなく、しかも次の塗料を染み込ませないテープ。ある程度の強度があり、水などを使わずにそのまま貼れるもの・...。こんなテープができたら作業者はどんなに喜ぶだろう、そんな思いを胸にドルーは早速このアイデアを上司に話しました。

ドルーから相談された上司は、彼の考えを応援し、実験の費用を負担することを約束してくれました。
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