N95マスク 製品Q&AN95微粒子用マスク Q&A (2009年改訂版)この問答集は2008年米国3M社作成の英文資料を基にスリーエム ヘルスケア株式会社が作成しました。 「微粒子用マスク」とは何ですか?「微粒子用マスク」は「レスピレーター」「呼吸器感染防護(防止)器具」などとも呼ばれる、ある種の空気感染源からの呼吸器感染のリスク軽減を目的として設計、開発された着用者(スタッフ)保護用マスクです。 「微粒子用マスク」は従来からある「サージカルマスク」とどのような点が違いますか?「サージカルマスク」の一義的目的は、サージカルマスクを着用するスタッフの呼気中に含まれ排出される微生物などから患者を守ることにあります。又、耐水性のあるサージカルマスクは着用者(スタッフ)が血液・体液由来の病原体に曝されるリスクを軽減するという目的も兼ね備えています。 N95微粒子用マスクは着用者の結核菌曝露リスク軽減を目的とした使用に適当でしょうか?N95微粒子用マスクは米国でCDC(米国疾病管理予防センター)が2005年に改訂、発行した「医療施設における結核菌感染対策のためのガイドライン」で定めている「呼吸器感染防護(防止)器具」の規格に合致しています。又、OSHAも結核菌への職務曝露時にN95クラス以上(NIOSHの定めた微粒子用マスク規格9クラスすべて)の微粒子用マスク、もしくはPAPR(Powered Air-Purifying Respirators:電動ファン付き呼吸用保護具)を使用することが適当であるとしています。 OSHAとは、どのような機関ですか?OSHAは、Occupational Safety and Health Administrationの略で米国労働安全衛生局と呼ばれる米国労働省の機関で、各種労働安全基準を制定、執行、監視しています。呼吸器防護器具についても対象となる危害、危険の種類に応じた規定を定めています。もし、雇用者が作業者の環境に合致した呼吸器防護器具の着用をさせていない場合、雇用者に対し、罰金を科する権利を有する執行機関です。 NIOSHとは、どのような機関ですか?NIOSHは、National Institute for Occupational Safety and Healthの略で、米国労働安全衛生研究所とよばれる米国衛生省(Department of Health and Human Services)の機関で、呼吸器防護器具の試験方法、規格の制定及び認定を行なっています。NIOSHには、使用を強制する権限はありません。 N95微粒子用マスクとは、どんなものですか?1995年6月8日、NIOSHは42CFR Part84と呼ばれる新しい規格基準を制定、発行しました。これは、従来の呼吸器防護器具の規格区分(ダスト/ミスト、ダスト/フューム/ミスト、ヘパ( HEPA )など)に代え、新たに9クラス(N、R、P 3種別、95、99、100段階別の組み合わせ)の規格区分を定めたものです。N、R、Pいずれの種別も1マイクロメーター(μm,1マイクロメーターは1/1000ミリメーターに相当)以下の粒子で試験され、その捕集効率は試験開始時及び、定められた試験時間中経時計測されます。 N、R、P 3種の違いについて教えて下さい。N : Not resistant to oil = 耐油性なし N95微粒子用マスクの試験粒子のサイズは?42CFR Part84の前文でNIOSHは新しい規格の呼吸器防護器具は、もっとも捕集しにくい(フィルターを通過しやすい)サイズの範囲内の試験粒子で試験されなければならない、としています。これは空力学的質量径でおおよそ0.3マイクロメーター(μm,1マイクロメーターは1/1000ミリメーターに相当)にあたります。塩化ナトリウム(NaCl)の試験粒子は、0.075マイクロメーターの数量中位径を持っており、これを空力学的質量径に換算すると、おおよそ0.3マイクロメーターになります。また、ジオクチルフタレート(DOP)の試験粒子(数量中位径0.185マイクロメーター)も空力学的質量径に換算すると、おおよそ0.3マイクロメーターになります。 (参考)NIOSH 42CFR Part84呼吸器防護器具捕集効率試験条件
N95微粒子用マスクは3サイズ用意しなければならないのですか?いいえ。結核菌感染対策に関し、CDC、OSHA共に呼吸器防護器具は「医療従事者のさまざまな異なる顔貌、サイズにフィットする機能-端的には3サイズ以上のマスクを用意することで可能」を備えていなければならない、としています。前述で重要な点はフィットする機能でサイズの種類ではありません。 N95微粒子用マスクの着用にあたってはフィットテストを行わなければなりませんか?米国ではOSHAが医療施設に対しすべての呼吸器防護器具を正しく使用するための呼吸器防護プログラムを備える事を義務づけています。このプログラムには文書化された手順、検診、トレーニング、フィットテストが含まれます。 フィットテストとは別に、シールチェック(以前はフィットチェック)という言葉があります。シールチェックは着用者自身が、隔離区域(汚染区域)に立ち入る前に、マスクが顔にフィットしているかを確認する簡易手段です。シールチェックはマスク着用の度に必ず行わなければなりません。シールチェックはフィットテストの代わりにはなりません。 フィットテスト実施の頻度は?米国ではOSHAが、雇用者は(1)最初に被雇用者に呼吸器防護器具を支給する時(2)呼吸器防護器具の銘柄・型番が変更になった時(3)フィット性に影響があるような顔貌の変化があった時には、フィットテストの実施を義務づけています。医療施設の中には従業員の定期検診時に、毎年顔貌の変化をチェックしているところもあります。 N95微粒子用マスクのフィットテストとして、刺激性の煙を用いる方法や定量的な方法を採用する事が出来ますか?いいえ。OSHAは従来より、これらのテスト方法を取る場合呼吸器防護器具はヘパ(HEPA)フィルター、または「本質的に完全な濾過性能を持つ素材」であることを規定しています。 このN95微粒子用マスクではシールチェックはどのようにすればよいのでしょうか?N95微粒子用マスクのシールチェックに際して、特別な器具は一切必要ありません。フィット性をチェックするには両手でマスクを完全に覆うようにして、息を吐いて下さい。もし、鼻の周りから息が漏れているようなら、両手で鼻の金具を調整します。マスクの周りから息が漏れているようであれば、頭側部に沿ってゴムひもを調整して下さい。いずれの場合も調整後に改めてシールチェックをして、息の漏れがなくなったことを確認して下さい。もし、適切なフィットが得られない場合には隔離区域には立ち入らないで下さい。 N95微粒子用マスクはレーザー手術時や電気焼灼器使用時に使用できますか?はい。環境中の煙の量を減らすために排煙装置が併用されるべきですが、この製品を使用することで、着用者の煙への曝露をさらに減ずることが期待出来ます。もし、着用意図が呼吸器防護であれば、フィットテストを含むOSHAの呼吸器防護プログラムに則った手順が必要になります。 N95微粒子用マスクはどのくらいの間使用可能でしょうか?この製品は傷ついたり、破れたり、呼吸が困難になったり、血液・体液により汚染されるまで使用できます。それぞれの施設の責任において定められた感染管理手順により保管、再使用することも可能です。「1日1~3回入室し、短時間で出る場合は2日使用する」という使用基準を定めて再使用している施設もあります(詳細は引用文献1を参照)。 結核患者はN95微粒子用マスクを着用すべきでしょうか?いいえ。呼吸器防護器具は呼吸器系の機能が著しく低下している人が着用すべきではありません。 ペンタミジン(Pentamizine、カリニ肺炎治療剤;製品名:ベナンバックス(サノフィ・アベンティス株式会社)など)の吸入療法介護時にN95微粒子用マスクを着用できますか?はい。ペンタミジンはしばしばAIDS患者のカリニ肺炎治療剤として使用されます。医療従事者がエアロゾル化したペンタミジンにさらされた場合、さほど重篤でない不快感を催すことがありえます。又、AIDS患者が未診断の結核である可能性もあります。エアロゾル化したペンタミジンを吸い込むことでそのような患者がせき込むこともあるでしょう。従って、このような薬剤噴霧時にはN95微粒子用マスクのような結核菌曝露時に対応する呼吸器防護器具を着用することが適当であると言えます。 SARS(重症急性呼吸器症候群)の患者、その疑いのある患者あるいは可能性のある患者を介護する場合にN95微粒子用マスクを着用することは適当でしょうか?はい。WHO、CDC及び厚生労働省がSARSの患者、その疑いのある患者あるいは可能性のある患者と接触する場合、医療従事者はN95規格以上の呼吸器防護具を着用するよう推奨しています。 鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ対応のマスクとしてN95微粒子用マスクは適当でしょうか?はい。「高病原性鳥インフルエンザに感染した可能性のある動物の殺処理に携わる人員の防御に対する暫定ガイドライン(2004年1月)」の中で、WHOは「最低限、ぴったりとしたサージカルマスクが必要である。N95微粒子用マスクが利用可能な場合は、それが推奨される」としています。また、「新型インフルエンザ対策ガイドライン(新型インフルエンザ専門家会議 平成19年3月26日)医療施設等における感染対策ガイドライン」の中で、厚生労働省は空気予防策の実施ついて、「・・・スタッフは患者病室に入室する際にはN95マスクを着用する。・・・」としています。 N95微粒子用マスクは医療施設のどのようなところで使われるのでしょうか?医療従事者(スタッフ)が結核患者(排菌者)あるいは結核が強く疑われる患者に対して診療、治療、介護を行う時、又は患者の咳を誘発しやすい状況の場合に本製品を着用することを推奨します。また、新型肺炎の診療や患者介護、患者搬送時に予防的使用が勧められています。例えば、結核病棟、救命救急部、内科外来、内視鏡室(気管支鏡検査)、口腔外科、歯科、病理解剖室などで医療行為や処置を行う場合です。 N95微粒子用マスクを一時的に保管する場合、どこに保管するのでしょうか?それぞれの医療施設の責任において定められた感染管理手順により保管してください。一時的にマスクを保管する場合は、衛生的に保管できるよう個別に場所を定め、マスクを十分乾燥させるように配慮してください。また、保管場所として紫外線殺菌ボックスの中に保管することはやめてください。紫外線によってゴムひもが劣化し、適切な着用が得られなくなる恐れがあります。 N95微粒子用マスクで捕集された結核菌は離脱や落下することはありませんか?結核菌とサイズおよび形状が類似した枯草菌(Bacillus subtilis)を用いてN95マスクからの再エアロゾル化(マスクからの菌の離脱)に関する研究が報告されています。その結果によると、通常の呼吸の37倍にあたる逆向きの流速下(激しい咳やくしゃみに相当)でのマスクからの再エアロゾル化率は0.1%未満であると述べられています。すなわちマスクに捕集された菌1000個のうち激しい咳やくしゃみによって離脱する菌は1個未満であることを示しています(詳細は引用文献2を参照)。 ■引用文献
■参考資料
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