ATP測定機器の導入は将来の損失を未然に防ぐ
こうした経過を経て、品質管理統括部では、2010年4月に「3M™ クリーントレース™ ATP測定機器ルミノメーター UNG3」と「3M™ クリーントレース™ ATP測定用試薬UXL100」を導入しました。
ATP測定機器の導入に関して、具体的にはどのように社内の承認を得たのでしょうか。導入に伴うコストアップの懸念はなかったのでしょうか。
「衛生検査の質とスピードが上がり、改善が早くなるという提案をしました。フードセーフティにおいて、1万円投資したから10万円のリターンがすぐにあるかというとあり得ない。将来の損失を未然に防ぐために今、改善できることをする、例えば、何かあったときに、従来の微生物検査だと、2~3週間先まで結果を待つことになり対策が後手にまわるリスクがありますが、ATP測定ですと、その場で結果が出るのでリスクの予測と対応を迅速にすることが出来ます。こうしてATP測定機器の導入の投資に見合うリターンは十分にあると社内の理解を得る事ができました。」(草野氏)
クリーントレース™ ATP測定機器UNG3とクリーントレース™ ATP測定用試薬UXL100を利用した検査プロセス
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確認したい部分をふき取る
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左右に約5秒間振り試薬を反応
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チューブを機器に差し込み測定
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約10秒で測定結果が表示
ATP測定の一番の目的は、手洗いのトレーニング
クリーントレース™ ATP測定機器UNG3とクリーントレース™ ATP測定用試薬UXL100の導入が始まって約2ヶ月。実施店舗数は約300店舗に上り、期待通りの結果を見せ始めています。(2010年6月に取材)
「ATP測定の一番の目的は、手洗いのトレーニングにあります。クルーの皆さんはマニュアルに沿って手洗いを行っていますから、きれいになっていると思い込んでいます。しかし、ATPで検査をして数値を確認してから、もう一度洗い直してみると数値が変化している。それで、洗い残していた事に気づいてもらえて、洗い方を見直すという事になる。手洗い手順は全員が知っていますので、洗い方をティーチングするのではなく、洗い残しやすいポイントやコツなどをコーチングすることができるようになるので、教え手と受け手の両者にとって、まさにトレーニングとして効果的であると思います。」(草野氏)
「日本マクドナルドのクルーは、15歳の高校生から80歳台の方まで様々です。いきなりATPの検査をしますと言っても全く何のことだか理解されない。そんな時は、小さい時にした覚えのある歯ブラシで歯を磨いて歯垢が残っていると歯が赤く染まるもの(染出し)の手指版で、手洗いの洗い残しがないかをみているんだよと説明します。常に入れ替わる経験値の浅いクルーにも基準となる衛生教育を施し、一定レベルに達してもらうためには、わかりやすく説明する事も必要です。洗い方によって数値が違うという事が、その場ですぐに目で見て分かるので、心から納得してくれます。そのことが検査を受けていないクルーにも広がり波及していくので、トレーニング効果としては非常に高いと思っています。」(草野氏)
データの解析により次の衛生管理ステージに行くための提言
また、トレーニングの目的だけでなく、集積したデータの解析から得られるメリットにも関心を向けています。
各店舗に保管されているフードセーフティチェックリスト
「1年間のデータを集計したら、数値になりにくく目に見えないところも、見えてきて、いろいろなことが分かってくると思います。例えば、これまでの微生物検査と実施しているATPの測定値のデータをつきあわせる事によって、微生物とATPの相関関係が見えてくる事も期待しています。単に自分たちの衛生管理の指標とするだけでなく、厨房の衛生管理の検証など、広く活用していけるような形になれば良いと思います。」(山下氏)
今後、品質管理統括部では、ATP測定を衛生管理教育を目的とした活用を行いながら、蓄積したデータの解析によって、次の衛生管理ステージに行くための提言ができるのではないかと、期待しています。
「加えて、アジア・パシフィックゾーンで最もマーケットシェアが大きい日本マクドナルドの店舗で集めたデータを元に、ATP測定の有効性を3Mさんと共に海外のマクドナルドにも提案していこうと考えています。」(山下氏)





