道路標識用反射シートについて
日本で道路標識に反射シートが使用され始めたのは昭和35年頃からで、夜間の交通量が増え始めたためでした。それまでは、ガラス球や反射塗料が部分的に使用されていましたが、白い点として光るだけで夜間、道路標識として認識するのは不可能なことでした。
その後、日本における交通量は増え続け、昭和35年当時230万台であった自動車保有台数は昭和50年には2,800万台を超える勢いで増え続けました。夜間の交通量も増えつづけ、道路標識も更に高度な性能を要求されることになりました。この頃、従来の3M™エンジニアグレード反射シートの3倍の反射性能を誇る3M™ハイ・インテンシティグレード反射シートが登場します。
カプセルレンズ型と呼ばれ、空気層を持った構造となっていました。耐候性能も10ヵ年と従来品の2倍となり、まさに高速時代の標識用反射シートとしてふさわしい性能を持っていました。
また、道路標識に用いられる反射シートは感熱型と呼ばれる加熱圧着型接着剤が使用されており、真空加熱圧着機を使用して、仮圧着、真空加熱圧着機の温度調節を経て本圧着することとされています。これは各標識工場での品質的な標準化と10ヵ年以上の品質保証をする上で義務付けられているからです。
平成5年ころ、プリズム型の反射シートが登場して道路標識に使用されていきます。プリズム型の反射シートはガラスビーズを使用したタイプより古い歴史を持っており、自動車や自転車の後部反射器のプラスチックタイプのものは幅広く使用されていました。しかし、反射性能は高いものの広角性能が悪く、広い面積のシートを作ることができず、その普及は困難とされていました。
しかし、高精細技術によって2つのタイプのプリズム型反射シートが登場します。
一つは、プリズム型の特徴を生かしたLDP (Long Distance Performance) と呼ばれるタイプでカプセルレンズ型の4倍以上の反射性能をもち、より遠くから明るく見えるという特徴をもっていました。このため、測量・測定機器のターゲットとして、また里程標(キロポスト)などに使用されました。もう一つのシートはVIP (Visual Impact Performance) と呼ばれ、一般的に「広角プリズム型」構造で道路標識に用いられました。
規制標識などはその内容が見えてから行動を起こすためには30m以上の距離が必要になります。標識を見る距離30m~130m の区間を反応距離と呼びますが、3M™ダイヤモンドグレードTMVIP反射シートはその広角性能をこの区間で最大に発揮するように設計されています。
平成17年、ついにプリズム型の2つのタイプ、LDPとVIPの両者の性能を併せ持った3M™ダイヤモンドグレードTMDG3超高輝度反射シート(広角プリズム型フルキューブ)です。従来のプリズム型は三面体キューブを使用していましたが、再帰性反射に寄与する部分は反射シート表面の60%でした。しかし、DG3はフルキューブを採用することでほぼ100%の反射素子面をもたせることに成功しました。また耐候性能も12年と長く、カプセルレンズ型と比較すると生産・加工・焼却の過程で約40%のCO2削減となり、環境に配慮した製品設計となっています。
平成18年、プリズム型の3M™ハイ・インテンシティグレードHIP高輝度反射シート(カプセルプリズム型)が販売されました。従来のカプセルレンズ型と比較すると、あらゆる視認判読距離で、より高い反射性能を発揮するとともに、環境負荷物質の排出を削減した製品設計になっています。


